愛車の鼓動を、自分で描く。車載データを「見る」エッジデバイスの世界
CANから車両データを読み取り、エッジデバイスで可視化・記録する。車いじりとソフトウェアが交差する新しい楽しみ方を紹介します。

車のメーターは、速度や回転数を確認するだけのものではありません。
水温、吸気温、スロットル開度、バッテリー電圧。現代の車には、走行中も多くのデータが流れています。こうした情報を安全に読み取り、小型コンピュータで処理して、自分専用の画面に表示する。そんな「車載エッジデバイス」の楽しみ方が広がっています。
LIGHTHOUSEが普段扱っている、センサーからデータを受け取り、現場側で処理し、見える形に変えるという考え方は、農業IoTだけでなく車載分野にも共通します。
車の中には、たくさんのデータが流れている
現代の車では、ECUや各種コントローラの間をCANと呼ばれる車載ネットワークがつないでいます。
車種や取得方法によりますが、そこにはエンジン回転数、車速、水温、吸気温、スロットル開度、バッテリー電圧など、さまざまな情報があります。
まずは車両へ指令を送らず、Read Only(読み取り専用)で受信する。ここが安全なスタート地点です。
読み取ったデータを小型コンピュータへ渡せば、その先はソフトウェアで自由に扱えます。
VTECのような「回して楽しいエンジン」なら
たとえば高回転まで使うエンジンなら、回転数だけでなく、スロットル開度、車速、水温、吸気温などを同時に表示・記録すると楽しみ方が大きく変わります。
高回転域に入るとメーター表示を変える。シフトインジケーターを強調する。特定条件で走行ログを保存する。
エンジン制御そのものには触れず、「今、車がどう動いているか」を自分好みの表現で可視化するわけです。
これは追加メーターを取り付ける楽しさに、ソフトウェアとデータ分析が加わったものとも言えます。
メーターから「車載テレメトリ」へ
表示に使ったデータは、そのまま時系列で保存できます。
峠道やサーキットを走ったあとに、どこでアクセルを開けたのか、どこで回転数が上がったのか、その時の水温や吸気温はどうだったのかを振り返ることができます。
GPSを組み合わせれば、走行位置と車両データを重ねることも可能です。
すると自作メーターは、単なる表示装置ではなく、自分専用の車載テレメトリ装置へ変わります。
異常の「直前」を残す
実用面でも価値があります。
水温上昇、電圧低下、警告状態などをきっかけに、その前後のデータを自動保存する仕組みを作れば、簡易的なブラックボックスになります。
人間の記憶では「さっき坂道で少し変だった」でも、ログにはその瞬間の回転数、水温、速度、電圧などを残せます。
故障してからエラーコードを見るだけでなく、調子が悪くなるまでの過程を見るという使い方です。
画面も動作も、自分で決められる
純正風、80年代のデジタルメーター風、レーシングカー風。表示デザインは自由です。
普段は速度と回転数だけ。高回転になると追加情報を表示。夜間は減光。温度が上がれば警告。一定回転以上でシフトランプ。
ハードウェアを交換しなくても、ソフトウェアを書き換えることで機能を増やしていけます。
これは「エッジデバイス」の典型例
この仕組みを分解すると、構成は非常にシンプルです。
車両センサー・ECU → CAN → エッジコンピュータ → 画面表示・ログ保存 → 必要に応じてPCやクラウドへ
これはLIGHTHOUSEが農業IoTで取り組んでいる構成とよく似ています。
圃場では気温・湿度・雨量・土壌水分を取得し、現場側の装置で処理してクラウドへ送る。
車では回転数・水温・車速などを取得し、車載側の装置で処理して画面やログへ送る。
対象が違っても、「現場で発生するデータを、使える情報に変える」というエッジシステムの本質は同じです。
車いじりに「ソフトウェアをいじる」が加わる
これまで車いじりといえば、エンジン、吸排気、足回り、電装などが中心でした。
そこへ今、「ソフトウェア」「データ」「エッジコンピューティング」という新しい領域が加わっています。
車を速くするだけではなく、車をもっと深く知る。
走るたびにデータが蓄積され、自分の車専用の表示や記録システムが育っていく。
最初は回転数と水温を表示するだけでも十分です。そこから一つずつ機能を増やしていく過程そのものが、これからのDIYカーライフの新しい楽しみ方になるかもしれません。
LIGHTHOUSEでは、農業IoTに限らず、センサー接続、エッジデバイス、現場データ処理、クラウド連携までを一体で考えたシステム開発に取り組んでいます。
「現場にあるデータを、どう取るか。どう処理するか。どう見せるか。」
その設計が、私たちのエッジデバイス開発の中心です。